研究概要 |
未固結堆積物の破壊様式を支配する要因の一つとして粒子間摩擦に着目し,以下の実験を行った. 1.洗浄装置の製作と試料の準備 粒子の表面性状だけが異なる試料を比較しなければ,摩擦の効果を比較することはできないため,大型回転容器を用いて洗浄装置を製作し,段階的な洗浄を開始した.その結果,石英砂の一種については,洗浄数百時間で石英粒子は光沢を帯び,鳴り砂特有の摩擦音を発するようになった. 2.安息角測定 段階洗浄したそれぞれの試料について,まず安息角・間隙率を測定する.これは,粒子表面性状を損なうことなく微小応力下で摩擦抵抗を事前に評価するためである.測定の結果,未洗浄のものから数百時間まで洗浄したものについては,洗浄時間に伴って安息角が増大を示し,最大で43゜が得られた.これは通常の砂では見られない値であり,充分な粒子間摩擦をもった砂が得られたことを示している. 3.帯状載荷で生じる粒子変位は高速度カメラで可視化観察する.これは充填様式の影響を除いた上で,粒子間摩擦と主としてスティックスリップ時のストレスチェーンの発達様式,歪の局所化および破壊構造(とくに剪断面角)の関係を見いだすことを目標として,帯状載荷で生じる粒子変位は高速度カメラで可視化観察を試みた.本年度は,高速度カメラを導入し予察的な撮影を行ったが,剪断装置の製作が完了しておらず,変位測定技術も開発中のため,粒子間変位とそれに基づく破壊様式の解析はできていない.載荷様式と変位速度の設定が解決すべき課題となることが考えられる.
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