研究概要 |
<ヒマラヤ変成帯に関する研究> 主マントル衝上断層直下のヒマラヤ変成帯の地質調査を行い、既報のエクロジャイト岩体の近傍において、ざくろ石に富むエクロジャイト質岩の露頭を発見した。既報の岩体および今回発見した岩体について、エクロジャイト本体とその周囲の片麻岩類の試料を採取した。 岡山大学地球物質研究センターとの共同研究により、コーズ石を含む超高圧のエクロジャイトと、その他のマフィック変成岩類の全岩主要元素組成および微量元素組成を測定した。測定値から、エクロジャイトの原岩は中央海嶺玄武岩であり、変成作用に伴って浸透した流体による交代作用を受けていることが推察された。この結果を、2nd Misasa International Symposium The Evolution of Early Stage of Earth and Solar System, Kurayoshi, Japan, February,2006において発表した。 <焦点画像合成システムによる研究> チベット南部には島弧地殻の断片と考えられているオフィオライト岩体が分布している。それらの一つであるルオブサオフィオライトから、超高圧の指標鉱物であるダイヤモンドなどの産出が報告されている。焦点画像合成システム(本研究費により16年度に導入)を用いて、既に保有しているルオブサオフィオライトの試料についての詳細な光学顕微鏡観察を行った。その結果と、既存の地質調査データを総合して、このオフィオライト岩体と周辺の地質ユニットが、全体として逆転した覆瓦状構造を構成することが明らかになった。
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