研究課題/領域番号 |
16540427
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
大塚 裕之 鹿児島大学, 理学部, 教授 (50041223)
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研究分担者 |
大木 公彦 鹿児島大学, 理学部, 教授 (90041235)
太田 英利 琉球大学, 熱帯生物圏国研究センター, 教授 (10201972)
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キーワード | 琉球列島 / 更新世 / 固有種 / 脊椎動物化石群 |
研究概要 |
初年度は,琉球列島の脊椎動物化石群の起源を明らかにする目的で各地で発掘調査を行い、以下のような成果を得た。 1.与那国島では、島の北部および東崎において行った石灰岩の裂罅堆積物の発掘では、リュウキュウジカ、イノシシ他、大型のシカ類の臼歯等、総計50点を超える化石資料を発掘した。同島から得られる化石資料は地理的に重要であるが、従来、データは皆無に等しかった。今回の成果は、これまで空白地域として残されてきた琉球列島最南端の古生物学的資料を新たに加えることになった。2。石垣島おいては、石垣市カーラ岳南部の石灰岩洞窟行った調査では、宮古島でのみに知られているミヤコノロジカ化石の可能性があるシカ類を採集したが、この発見は古生物地学的に重要である。北部の伊原間地区にあるサビチ洞での発掘調査では、翼手類、リュウキュウジカ、ハブ類を始めとする化石を大量に発掘した。従来、同島では石城山動物化石群と、産出層が不明のリュウキュウジカ化石のみ知られていたが、今回、リュウキュウジカ包含層が初めて明らかとなった。3。宮古島南部の上野村おいて、石灰岩の裂罅堆積物について資料収集を行い、ハブ類、カメ類、ミヤコノロジカを含む化石群集を収集した。4。久米島の大原地区では、石灰岩採石場跡地における調査を行った結果、リュウキュウジカを含む化石群を収集した。また、これらの産地で収集した化石を含有石灰岩塊は酸処理による化石取り出しを行っている他。これら化石の年代を知るために包含層から採集した試料ついて、炭素14年代の測定を実施中である。 琉球列島の脊椎動物化石の起源を中国大陸の資料と比較検討する目的で、海外共同研究者の中国科学院の金昌柱教授を鹿児島へ招聘し、標本資料を一緒に検討した。また、研究代表者は北京の中国科学院を訪問し、沖縄産のげっ歯類化石についての意見を交換し。その結果、沖縄島産出のげっ歯類が、中国は揚子江下流域の後期鮮新世の種に近縁で、沖縄島産出のそれらは大陸からの渡来種が島嶼へ隔離され生き延びたものの子孫種であることが明らかとなった。
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