研究概要 |
本年度の当初目標として交付申請書の中で,1)ウクライナ,ドネツ炭田地域のカリノボセクションのフズリナ群集変遷に関する投稿論文の作成,2)中国貴州省紫云県の宗地セクションにおける生層序および堆積学的な調査の実施とそのデータのとりまとめ,3)国際会議,ワークショップにおける研究成果の公表,の3項目を掲げた. 1)については,Heckel et al.(2007)の中にカリノボセクションにおけるフズリナ生層序の基本的デ-タが盛り込まれており,さらに現在,フズリナ生層序および分類に関する論文を準備中である.2)に関しては,4月に野外調査を実施した.その結果,宗地セクションの上部Moscovian-Kasimovian層準にFusulinella-Fusulina帯,Protriticites sp.A帯,Protriticites sp.-B帯,Montiparuss帯,Triticites帯の5化石帯を認定した.このうち,Protriticites sp.A帯では殻壁に細孔が発達する原始的なProtriticites属が見られるのに対し,Protriticites sp.B帯ではより粗い構造(perforation)が外部旋回殻壁に見られる進化型のProtriticites属が産出することから,宗地セクションのM/K境界はProtriticites sp.B帯の基底に概ね一致することが明らかになった.3)については,8月にスロベニア地質調査所(リュブリアーナ市)で開催された「M/K境界に関するタスクグループワークショップ」において,カリノボセクションおよび宗地セクションのデータを発表し,同時に有孔虫標本の検討を参加者の間で行った.また,9月にはブラジル・ナターウ市で開催された国際有孔虫シンポジウム(FORAMS2006)において,カリノボセクションに関する口頭発表を行った.
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