研究概要 |
1.ハラフシグモ類の現地調査(代表者・小野) 奄美諸島において、採集調査を行なった。現地では、海岸近くの低地林から山岳地域に位置する原生林にかけて好適な調査地を選定し、クモを地中より掘り出して採取するとともに、植生、土壌の性質、食餌動物等の生態学的なデータを記録した。この調査に国内旅費および消耗品費を要した。 2.現生クモ類標本および化石標本の系統分類学的研究(代表者・小野、分担者・植村) 国立科学博物館が所蔵する東アジア産のハラフシグモ類の未整理標本および日本産ならびにブラジル産の化石標本、また現地調査で得られた資料、共同研究者から提供された化石標本などの一部を整理、研究した。作業内容は、解剖、研摩、薬品処理、撮影、描画、測定等多岐にわたったが、高度の技術を要するものを代表者および分担者が、またその補助をアルバイトが担当した。設備は国立科学博物館に現有のものを利用し本予算から人件費および消耗品費を使用した。 3.海外共同研究者との研究打ち合わせ(代表者・小野) 海外旅費を使用し、英国マンチェスター大学のPaul Selden教授およびDavid Penney助手、またドイツ・ベルリンのフンボルト大学付属自然科学博物館のJason Dunlop研究員とおもに古生代の化石クモに関する技術上の情報交換を行なった。なお、共同研究者に対する予算の分配は行なわなかった。 4.年度のまとめ(代表者・小野、分担者・植村) 以上の結果を踏まえて1論文を発表したほか、コハク化石のクモに関する論文を準備した。また、8月にペルギー・ゲント大学で開催された第16回国際クモ学会議に出席し、A revision of spider taxa named by Kyukichi Kishida(Arachnida,Araneae)の題で、日本で最初に記載されたハラフシグモ類に関する事柄を含む講演を行なった。国内研究者との打ち合わせのために国内旅費を使用したほか、別刷購入費を要した。
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