1.ハラフシグモ類の現地調査(代表者・小野) 鹿児島県南部および種子島において採集調査を行った。調査地では、海岸近くの低地林から山岳地域の原生林にかけて好適な調査地を設定し、クモを探して地中から掘り出して採取した。それと同時に植生や食餌動物、土壌の性質、とくに土質や湿り気、植物の根の張り方、地表のコケ等の有無などの生態学的データを記録した。現地調査に国内旅費(レンタカー借り上げ費を含む)および消耗品費を使用した。 2.現生クモ類および化石の標本の系統学的研究(代表者・小野、分担者・植村) 国立科学博物館が所蔵しているおもに東南アジア産のハラフシグモ類の未整理標本、日本およびブラジル産の化石標本、さらに種子島の現地調査で採集された資料、協同研究者から提供された標本などを研究した。作業内容は、解剖、.研磨、薬品処理、撮影、描画、測定等多岐にわたったが、高度の技術を要するものを代表者と分担者が、またその補助および単純作業をアルバイトが担当した。すべて国立科学博物館の現有の設備を利用し、本予算から謝金と消耗品費を便用した。 3.海外共同研究者との研究打合せ(代表者・小野) 海外旅費を使用して、オーストラリアのクイーンズランド博物館のRobert Raven研究員を訪ね、ハラフシグモ科やオオツチグモ科等の原始的なクモ類について情報を入手し、意見を交換した。 4.年度のまとめ(代表者・小野、分担者・植村) 以上の結果に基づき4編の論文を公表した。また8月に東京で開催された日本蜘蛛学会第38回大会において代表者が「桑鈴:日本最古のクモの卵嚢の標本か」の演題で口頭発表を行った。国内研究者との打合せに旅費を要した。
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