研究概要 |
本年度の研究実績は以下のとおりである. 1)難揮発性包有物とコンドルールの研究:各種コンドライト中の難揮発性包有物の分析を行い,難揮発性包有物やコンドルールの原始太陽系星雲内における形成過程の詳細を検討した.特に,従来はあまり研究対象となってこなかった普通コンドライト中の難揮発性包有物を詳細に検討し,炭素質コンドライト中のものと類似の環境で形成したことを明らかにした. 2)熱変成作用の研究:各種コンドライト中の金属鉱物及びスピネル族鉱物の特徴を詳細に記載,分析し,従来珪酸塩鉱物から得られている知見を参照しながらコンドライト熱履歴を明らかにした.これらの鉱物はコンドライトの熱変成度の最も有効な指標となることを提唱した.特に金属鉄は300℃以下の熱履歴も保持していることが明らかとなった.スピネル族鉱物は500℃程度の変成温度を保持していることも明らかとなった. 3)衝撃変成作用の研究:CBグループに属するGujba隕石を詳細に研究し,炭素質コンドライトから初めて,衝撃変成作用を反映する高圧鉱物を発見した.特にコーカサイトとカルシウムに富むざくろ石は初めての報告となった.この特徴及び普通コンドライトとの比較により,同隕石の隕石母天体に加わった衝撃圧力,衝突過程の物理条件を明らかにした. 以上,得られた成果は国際隕石学会およびアメリカで開かれた月惑星シンポジウムで発表した.また国内の鉱物学会でも発表を行った.
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