研究課題/領域番号 |
16540436
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
小松原 哲郎 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (10195852)
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研究分担者 |
笹 公和 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (20312796)
黒澤 正紀 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (50272141)
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キーワード | 水素分析 / 非破壊分析 / マグマ中の水分量 / 放射線 / 陽子ビーム / ERCS / 包有物 / マイクロビーム |
研究概要 |
鉱物試料中の水素を非破壊で測定する手法として、「陽子弾性散乱同時計数法」(Elastic Recoil Coincidence Spectrometry)(ERCS法)が確立されつつある。地中におけるマグマの形成や火山噴火のメカニズムを知る上で、マグマ中の水分の挙動が非常に重要であるといわれている。地下のマグマ溜まり内で結晶化した石英は、結晶成長する際に地中のマグマをそのまま取り込み、ガラス包有物として多数見出される。このガラス包有物は流紋岩質あるいは玄武岩質であり数%の水を含むが、この水素濃度を精度良く測定する事が本研究の目的である。 水素分析実験は筑波大学研究基盤総合センター応用加速器部門に設置されている12UDペレトロン静電加速器にて加速された20MeVの陽子ビームを使用して行った。散乱された2個の水素原子核は左右45度に配置した荷電粒子検出器にて検出するが、本年度の大きな改善点のひとつとして、この検出器のサイズと配置を最適化し、より大きな立体角で短時間に精度の良い測定が可能となった事があげられる。検出器前面に配置したスリットを調節しバックグランドの低減化を図った。さらに、計数率が高い場合に生じるパイラップを取り除く為にパイラップリジェクター回路を接続した。また、チャンスコインシデンスの除去の為にタイミング系の回路を最適化した。 天然鉱物としては、宮城県蔵王町円田の水晶、早戸川のクロム透輝石、父島の安山岩、ハワイ島キラウエア火山のカンラン岩などのサンプル中に存在するガラス包有物の測定を行った。また、標準サンプルのひとつとして、長野県和田峠産黒曜石中の水素濃度を測定した結果、H_2O換算で1.0%と文献値にほぼ等しい値が得られた。
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