研究概要 |
1.前年度までに求められたMg, Ca, Al, Si, Oの5原子系についての原子間ポテンシャルを一層精密化することを試みた。その結果、MD及びLDシミュレーションを用いて、CaO-MgO-Al_2O_3-SiO_2系の種々結晶及び融体について、それらの常温あるいは高温における体積、体積弾性率、体積熱膨張率をかなりな精度で再現することに成功した。加えて、融体については、MDシミュレーションを用いて求められた、高温における種々陽イオンと酸素イオン間の平均原子間距離を高温X線解析により求められている値と詳細に比較検討した。 2.固体についての第一原理量子力学計算(CASTEP)を用いて、MgO, CaO, Mg_2SiO_4多形、Al_2SiO_5多形などについて、それらの構造と構造の圧力依存を求めた。その結果、これらの計算により、かなり良い精度でそれぞれの実測値が再現されることを見出した。今後は、第一原理量子力学計算に基づく有効原子間ポテンシャルの導出を試みる。 3.MDシミュレーションを用いて、MgSiO_3アキモトアイト、CaSiO_3ペロフスカイトの両者について、それらの温度-圧力-体積状態方程式を精密に求めることに成功した。加えて、これら両者の弾性定数の異方性についても詳細に検討した。 4.上記計算機シミュレーションによる研究をサポートするために、マントル遷移層の重要鉱物である、(Mg,Fe)_2SiO_4リングウッダイトについて、放射光を用いた高温高圧粉末X線解析により、温度1700K,圧力20GPaまでの精密な温度-圧力-体積状態方程式を求めた。
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