研究概要 |
我々は,本研究を通してCaO-MgO-Al_2O_3-SiO_2(CMAS)系の種々結晶と融体に適用できる,精密な相互作用モデルを導くとともに,分子動力学(MD)法と格子動力学(LD)法を用いて,それら種々結晶と融体の構造,体積弾性率,熱膨張率等を高精度で再現することに成功した。 結晶のポテンシャルエネルギーを,クーロン項,ファンデァワールス引力項,反発項から成る二体間相互作用の和で表した。加えて,Oイオンについては,Oイオンの反発半径が,結晶場の影響を受けて等方的に変化するbreathing shell model(BSM)を適用した。必要なエネルギーパラメータは,CMAS系に属する,配位数の異なった多様な構造を持つ種々結晶の常温常圧下における実測の構造,体積弾性率,熱膨張率,及びエンスタタイト,ウォラストナイト,ディオプサイド及びアノーサイト融体の常圧,1900Kにおける体積,体積弾性率,熱膨張率の実測データの全てを精度良く再現するとの条件を用いて経験的に求めた。 本研究では、CMAS系に属する、多様な構造を持つ結晶を取り上げた。即ち,陽イオンの配位数が,Siイオンについては4及び6,Alイオンについては4,5,6,Mgイオンについては,4,6〜12,Caイオンについては6〜12の結晶を取り扱った。このような極めて多様な構造にも拘わらず,LD又はMDシミュレーションを用いて,それぞれの実測の構造,体積弾性率,熱膨張率の全てを高精度で再現することに成功した。加えて,常圧,1900Kにおける上記4種の融体についても体積,体積弾性率,熱膨張率のMD値が高精度で実測データを再現することを見出した。
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