研究課題/領域番号 |
16540446
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
赤塚 洋 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助教授 (50231808)
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研究分担者 |
松浦 治明 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助手 (70262326)
鈴木 達也 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助手 (70323839)
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キーワード | 衝突輻射モデル / 電子エネルギー分布関数 / 分光計測 / 希ガスプラズマ / アルゴンプラズマ / 2温度分布 / 高エネルギーテール / プロセスプラズマ |
研究概要 |
本年度予定の研究の内、まず理論・計算に関する研究から着手し、EEDFに対して2温度分布を仮定し、様々な条件でアルゴンプラズマの励起状態数密度の計算を、衝突輻射モデルにより試みた。その際、低エネルギー側温度、高エネルギーテール温度及び遷移エネルギーの3つをパラメータとして、定常状態における励起状態の数密度増減に関する釣り合いの方程式をたて、励起密度準位数の変化を系統的に検討した。その結果、予想通り、各準位がエネルギーギャップの狭く密集する高エネルギー準位では低電子エネルギー成分が主要な決定成分となり、エネルギーギャップが広い低励起準位の密度分布は主に高エネルギー電子成分により決定されることが判明した。しかし、アルゴンの場合、低励起の準安定準位密度の計算に関しては、単なる電子衝突と輻射のみでの記述では不十分と予想されるところもあり、拡散や、流れのある場合の移流項成分を検討せねばならない体系も存在することが強く予想されるため、更なる検討が必要と判明した。 一方、本年度実施の実験研究分については、当初申請時よりも予算の減額があったため、方針の変更を余儀なくされた。当初予定であった大型油拡散真空ポンプの購入が不可能となったことを受けて、現有の装置にて比較的高気圧(数Torr)のアルゴンプラズマを発生し、その生成プラズマの分光学的特性を測定した。プローブ計測の結果、やはり電子エネルギー分布関数(EEDF)は上に凸のドリュベステイン型であり、既存のアルゴンプラズマの衝突輻射モデルで十分記述できる性格のものであることが判明した。なお、アルゴンをベースにして、異種の希ガスを今混入することによる特性変化を検討している。とくに、ヘリウムのような準安定成分の寄与の非常に大きいもの、あるいはキセノンのように低エネルギーに準位を多数有するものを混入することにより、実質的なEEDFが変化することを見いだしており、次年度以降この特性変化を主に検討し、異種希ガス混入による特性変化を系統的に調査することとする。
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