研究概要 |
大気圧グロー放電のグロー状放電形成要因として,累積電離等の準安定原子の効果やガスのクーリング効果などが議論される。即ち,準安定原子密度,ガス温度と放電状態との相関を検証する必要がある。本研究の目的は,希ガス中の高気圧非平衡プラズマにおいて,放電形態と準安定原子密度の相関を精査し,準安定原子の役割を解明することである。具体的には,バリア放電型高気圧グロー放電中の準安定原子密度をレーザ吸収法で計測し,同時に吸収プロファイルよりガス温度推定を行う。また,並行して,同条件での放電シミュレーションより,理論面での検討を行う。平成16年度は,アルゴン中のバリア放電型グロー放電を対象として研究を行い,以下の成果を得た。 1.アルゴン準安定原子密度の計測 (1)放電特性の調査:ガス圧,電源周波数(13.56MHz,100kHz)をパラメータとし,放電特性を調査した。我々が用いた装置では,100kHzでは200Torrまで,13.56MHzでは400Torrまでグロー放電の形成が可能であった。 (2)半導体レーザを用いたレーザ吸収法によるシステムを構成し,中心波長763.72nmの励起を用いてAr(1s_5)の密度計測を行った。13.56MHzでの放電では,Ar(1s_5)の密度は圧力にあまり依存せず,10^<10>cm^<-3>程度であった。100kHzの放電では,高圧下の方がAr(1s_5)密度は高く,印加電圧に同期した時間変動が確認された。ガス温度に関しては,現在,データ解析中である。 2.放電シミュレーション (1)シミュレーションに必要となる反応過程を収集・検討し,計算モデルを構築した。 (2)13.56MHzの実験条件に合わせて計算を行い,Ar(1s_5)として10^<11>cm^<-3>程度を得た。準安定原子の放電構造に対する影響は現時点では確認されていない。
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