これまで無限遠で発散することから捨てられてきた解(異常解)も有限空間の下では物理的解として実効性を持つことを示して、観測されている台風様渦の構成に成功したが、軸方向の流れ場については、十分理解できていなかった。今年度はこの軸方向流れの解明にとりくみ、解の基本構造を明らかにした。 周方向流れはそれ自体で閉じているが、径方向流れは、とりわけ中心に向かう流れは、吸い込み口がない限り、軸方向の流れへ変換されなければ流れの連続性が保障されない。このため、連続の式と軸方向流れに対する運動方程式を連立して解くことになる。軸方向のゼロ次の流れに対する方程式は2次方程式となって、2つのブランチが出てくるが、それに応じた流れの変動場はそれぞれ、第1種ベッセル関数と、変形ベッセル関数であらわされることがわかり、実験結果を再現することが出来た。 ただし、この流れ場は上流側で逆流、下流側で順流となり、流れのどこかに湧き出しが存在することを意味しているが、その湧き出しは実験でも確認しておらず、今後の課題である。
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