研究課題
今年度は本研究課題で核となる励起アルカリ原子源の完成を目標とした研究を行った。基底状態のアルカリ原子を生成する熱オーブン型原子源については製作済みの1号機で実験を行ってきたが、これにいくつかの改良を加えた2号機を製作し、最適運転条件を調べた。アルカリ蒸気を効率良くかつ正確に発生させるためのヒーターの追加と取付け方法の改良を行った。また、ヒーター追加に伴いアルカリ蒸気源の運転方法の最適化試験を重ね、本実験に適した運転モードを決めた。加えて、蒸気圧をより正確に制御するための温度モニタと蒸気圧モニタを増設した。これらの改良により、より迅速・安定なアルカリ原子源の運転が可能になった。励起レーザー系については、基底原子を効率良く励起させるために、光学部品の試験・改善、光学経路の変更を行った。特に迷光対策を入念に行い、レーザー経路にビームダンプを設置したり、真空容器内の壁に乱反射を押さえるための吸収膜を付ける等して、迷光をこれまでの1/10以下に抑えることができた。更に、光検出器の直前にラマンフィルターを挿入することで、実信号のみを効果的に検出し、S/N比を数桁以上改善できた。本実験では励起レーザーの波長を極めて正確に設定し、それが長時間にわたって安定でることを確保する必要があるが、半導体レーザーの安定化についても詳細な試験と最適化を重ね、本実験で必要な性能を確保できることを検証した。以上の改良と最適化により、アルカリ原子源で生成された基底原子を半導体レーザーによって励起する場合、期待通りに標的原子が励起状態へ上がっているかの予備実験も進め、良好な成果が得られた。本申請課題で購入した半導体レーザーを追加し、飽和励起が可能となることの検証実験を続けている。
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J.Plasma Fusion Res. (印刷中)
J.Phys.B. Vol.37
ページ: 403-406
Rev.Sci.Instrum. Vol.72, No.10, Part II
ページ: 3912-3914
ページ: 3878-3880