研究概要 |
プロトン移動によって結晶中で中心性キラリティを持つようになる分子としてタルトロン酸とフェニルマロン酸を取り上げて,それらとアミン類,ピリジン類およびアミノ酸との塩または分子間化合物を合成し,X線回折実験によってその結晶構造を明らかにした。また,単結合回りの回転束縛のために結晶中で軸性キラリティを持つようになる分子として,クロロニトロ安息香酸を取り上げ,アミン及びピリジン類との塩あるいは分子間化合物の結晶をつくりその結晶構造をX線回折によって解析した。さらに,結晶中の水素結合様式および水素結合中のプロトン移動について検討するためにモデル物質としてクロラニル酸を取り上げ,アミン類,ピリジン類,アミノ酸との塩または分子間化合物を合成し,その結晶構造と水素結合様式をX線回折によって調べた。 研究成果の一部であるタルトロン酸と2-ピリドン,3-ヒドロキシピリジンおよび4-ヒドロキシピリジンの結晶構造については既に国際結晶学会誌に発表した。クロラニル酸とテトラヒドロキノリン,ピコリンおよびトリメチルピリジンのX線結晶構造解析の結果も国際結晶学会誌で発表した。また,タルトロン酸とクロロベンジルアミン類の結晶構造については2004年日本結晶学会年会で発表を行った。フェニルマロン酸及びフェニルマロン酸とアミン類との塩の結晶構造についても同様に2004年日本結晶学会年会で発表を行った。
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