研究課題/領域番号 |
16550018
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
原田 賢介 九州大学, 理学研究院, 助手 (70165017)
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研究分担者 |
田中 桂一 九州大学, 理学研究院, 助教授 (50037280)
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キーワード | ミリ波共振器 / 分子錯体 / H_2-HCN / 分子間振動 / フーリエ変換マイクロ波分光 / ミリ波分光 / CoNO / 光解離 |
研究概要 |
分子錯体・ラジカル種・イオン種の観測を目的としてミリ波及びセンチ波共振器を用いた高感度二重共鳴分光装置の開発を行い、H_2-HCN錯体の観測に応用したので報告する。 ミリ波分光用共振器は、主鏡径130φ、共振長600mmの共焦点型共振器をポリエチレン薄膜ビームスプリッターを挟んで10インチ真空セル中に設置した。共振長はパルスステージでコンピューター制御した。ビームスプリッターで反射させて共振器にミリ波を入射し、共振後、ビームスプリッターで反射された出力光はビームスプリッターの透過光に重なって出力される。ジェットセルは既存の大型拡散真空ポンプで排気した。活性種を含む分子錯体を効率よく生成するため光解離ジェットノズル及び放電ジェットノズルを製作し共振器の集光点に配置した。この方法の利点は、(1)ノズルから近いラジカル錯体の濃度が高い所にミリ波ビームを集光するため高感度が得られる。(2)高反射率の鏡を用いるため共振器の効率がよい。(3)可動鏡の制御や入射光のアライメントが容易である。(4)拡散ポンプを用いるためチャンバーの真空度がよく、振動によるノイズが避けられる点にある。 感度をさらに向上させるため、超音速ジェット及びミリ波共振器と直交させて主鏡径240φのセンチ波共振器を設置しフーリエ変換マイクロ波(FTMW)分光法との二重共鳴法により分子錯体のミリ波スペクトルを高感度検出する装置を製作した。この方法は、(1)高感度なFTMW分光法により分子錯体の回転遷移を検出後、生成条件及び回転定数のデーターを基に周波数予測が困難な分子間振動遷移を探索するため実験が容易になる。(2)ミリ波で分子錯体の分子間振動を励起し、一準位を共有する回転遷移をFTMW分光法で検出する二重共鳴法により極めて高感度で分子間振動遷移を検出・帰属できる特徴を持つ。 H_2-HCN分子錯体は極めて弱く結合した分子錯体で、パラ水素は基底状態でHCNのH側に結合するが、オルト水素はHCNのN側に結合するという著しく量子的な振る舞いが注目されている分子錯体である。オルト種、(o)H_2-NCHのHCN部位の内部回転バンドを初めて観測し帰属した。また同様に弱く結合したNe-HCN分子錯体の内部回転ホットバンドを帰属解析し分子間ポテンシャルを決定した。ラジカル種に関しては、Co(CO)_3NOの光解離により生成したCoNOの回転遷移を観測した。
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