研究概要 |
NO分子の高リュードベリ状態6f,7fからのレーザー誘起自然放射増幅光の観測を行い回転解析を試みた.YAGレーザー励起の2台の色素レーザーを励起光源とし,非線形光学結晶を用いてA←X(0,0)に相当する第三高調波を発生する.別の色素レーザー光をKDPにより第二高調波に変換し,二つの光を時間的・空間的に重ね合わせて同軸同方向からNOを封入したセルに入射し6f,7f状態を励起した.レーザー光軸上に発生するASEを適当な光学フィルターにより入射光と分離し,分光器およびMgCdTe検出器を用いて観測した.6f,7fは量子数L(軌道角運動量の回転軸への射影成分)により回転エネルギー準位が表される電子状態である. 6f:7.9μm付近に6f(v=0,:L=0)→5dπ-電子遷移による発光を観測した.項値の計算からこれらを^1R_0の回転線であると帰属をつけた. 7f:7f(v=0)の正確な項値は決定されていないことから,回転線の帰属を行うことは現状では困難である.波長,7.5および8.0μm付近の発光は,それぞれ6g→5f,6dδ→5f遷移に相当すると帰属された.また11μm付近の発光は7f→6dδと帰属した.この遷移は7fのLの異なる状態からは観測されていたが,L=3からの発光はこれまで未観測であった,今後は7f→6g遷移の直接観測を目的とし,12〜15μm領域の探索を実施する予定である.
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