| 研究概要 |
本研究では昨年度に引き続き、複数のTTF型ドナーを2本のメチレンジチオ鎖で直線状に3〜4個/1本のメチレンジチオ鎖で環状に3〜4個繋ぎ、柔軟な構造をもったドナー分子を合成し、ゲストとしての能力を評価することを目指した。しかし、一部の直線状ドナーの合成に成功しているものの、機能評価には到っていない。
(1)昨年度合成を行った直線状3量体(メチレン数3)にならって、直線状3量体(メチレン数2)について合成を行い、末端に様々なアルキルチオ基を有する目的分子を合成した。(2)直線状3量体(メチレン数1)については、昨年度に引き続き様々な合成の試みを行った。ジチオアセタールとなるためメチレン数2、3と比べ合成は格段に難しく、また様々な段階の中間体の低溶解度の問題が解決出来ず、合成は極めて困難との判断に到った。(3)ゲストとしてフラーレンを想定すると、環状4量体より3量体の方がより適切な空孔サイズをもつと判断される。4量体と類似の経路により環状1,3-ジチオール-2-オン3量体(メチレン数2、3)の合成を行い、目的物の溶解度を向上させるようないくつかの4,5-2置換1,3-ジチオール-2-オン/チオンとのカップリングにより、TTF骨格への変換を試みた。種々の条件を検討したが、残念ながら、これまでのところ目的物の生成は確認出来ていない。(4)(1)で得た直線状3量体についてC_<60>とC_<70>の混合物で錯体形成を試みているが、今の所はっきりした結果は得られていない。
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