研究課題
基盤研究(C)
平成16年度において、マレインイミドの選択的部分還元によって得られたヒドロキシラクタムをリパーゼによる速度論的光学分割と立体選択的なジヒドロキシ化によりポリヒドロキシラクタムへと変換し、このアルキル化により環状アミノシュガー類を合成した。さらに、シトラコンイミド由来のヒドロキラクタムからピロリジンアルカロイドであるPulchellalactamの合成を達成した。また、平成16年度には有機分子触媒の一つであるキラルな相間移動触媒について、水中でのグリシンシッフ塩基のアルキル化を行なった。その結果、二相間で行なった場合に比べて、シッフ塩基の加水分解によるベンゾフェノンの生成が抑制され、従来の不斉効率を損なうことなく、アルキル化物の収率向上が達成できた。平成17年度には分子設計した有機分子触媒による水中での不斉有機合成反応の確立について検討を行った。生体内での酵素反応は基質が酵素内の疎水性反応場に導入されることにより反応が開始されることから、有機分子触媒として使用するプロリン誘導体の側鎖部に疎水性の長鎖アルキル基を導入したジアミン系触媒を合成した。まず、代表的な炭素-炭素結合反応である不斉アルドール反応について検討した結果、シクロアルカノンと芳香族アルデヒドとのアルドール反応において、極めて高い収率とエナンチオ選択性が達成されることが明らかになった。この結果は、有機溶媒をまったく用いない水中のみでの有機分子触媒的不斉合成の初めての成功例であり、今後の環境調和型不斉有機合成反応として大きな一歩を踏み出すことができた。さらに、アルデヒド、ケトン類とニトロオレフィンとのMichael反応についても検討を加えた結果、水の代わりに飽和食塩水中あるいは海水を用いることにより、重合を完全に抑えることができ、極めて収率よく不斉Michael反応が進行することを明らかにした。
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