研究課題/領域番号 |
16550037
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
谷 敬太 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (60207165)
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研究分担者 |
樋口 弘行 富山大学, 理学部, 教授 (00165094)
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キーワード | カルバゾール / カルバゾロファン / エキシマー / エキシプレックス / シクロファン / 光誘起電子移動 / ドナー-アクセプター / エキシタープレックス |
研究概要 |
前年度に引き続き、カルバゾール発色団の光電子物性を解明するためにカルバゾロファン(カルバゾール系シクロファンの合成を行った。カルバゾロファンのアミン誘導体は、これまではジカルバゾリルアルカンのジブロモ体から三段階で合成可能であったが、その合成収率が低かったので収率改善を検討した。その結果、ジブロモ体から一段階で合成できる方法を見出し、従来に比べて収率が約2倍に向上した。 また、カルバゾールの3位と9位で架橋した2架橋の酸素およびシアンアミド系のカルバゾロファンを合成し、その構造をX線解析から明らかにするとともに、光物性を電子吸収スペクトルと蛍光スペクトルから検討した。その結果、部分重なり型のエキシマーが生成するためには、二つのカルバゾール環の二面体角が8度以下であること、二つのカルバゾールの非結合N-N距離が3.5Å以下であることが必要条件であることがわかった。 さらに、カルバゾールはドナーとしても作用でき、アクセプター存在下でエキシプレックスや光誘起電子移動をすることが知られている。今年度はカルバゾロファンと種々のテレフタレート誘導体の連結系を合成した。それらの光挙動は、テレフタレート誘導体のアクセプター性と溶媒の影響を大きく受けることがわかった。すなわち、アクセプター性が弱いときはカルバゾロファンのエキシマー発光が現れ、アクセプター性の増大とともにエキシマー発光の減少とエキシタープレックス発光の出現、さらなるアクセプター性の増大はエキシタープレックス発光の減少と光誘起電子移動をもたらすことがわかった。
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