研究概要 |
【異核カルコゲンによる4c-6e系の構築】ナフタレンの系における4c-6eの結合様式や特異性に対する16族原子依存性を比較検討するため、既に合成した1,8-ビス(フェニルチオナフチル)-1,1'-ジスルフィドおよび1,8-ビス(フェニルセラニルナフチル)-1,1'-ジセレニドに加えて、1,8-ビス(フェニルチオナフチル)-1,1'-ジセレニドおよび1,8-ビス(フェニルセラニルナフチル)-1,1'-ジスルフィドを合成し、これらの構造解析を行い、2個のセレン原子と2個の硫黄原子が直線上に配列していることを見出した。すなわち異核カルコゲン間4c-6eを構築できた。これにより硫黄、セレンによる異核カルコゲン間4c-6eの結合様式やカルコゲンの組み合わせによる4c-6e結合の安定性についての詳細を明らかにすることができた。今後テルルを組み合わせた系の検討を行う予定である。 【5c-6e系の構築】5c-6e系の構築に成功した1,8-ビス(フェニルセラニル)アントラキノンや9-(メトキシ)-1,8-ビス(フェニルセラニル)アントラセンのカルコゲンをさらに原子半径の小さな硫黄に変えて研究を行った。構造解析の結果、硫黄の系でも5c-6e拡張超原子価結合を構築していることを明らかにし、この系での結合様式や特異性について詳しく検討を行った。 【6c-10e系の構築】6c-10eを有すると期待されるビス(8-クロロアントラキノリル)-1,1'-ジセレニドを合成した。現在、構造解析を行うべく単結晶を調整している。 本年度合成した化合物については、多核のNMR測定、UV測定等各種精密機器によりスペクトル測定を行い、別途理論計算により得られた計算値と測定値をつきあわせて検討を行っている。これらは、さらなる拡張超原子価結合系を構築するための重要なデータとなる。
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