研究概要 |
研究材料となる紅藻類に属する3種の藻体(Laurencia luzonensis, Laurencia brongniartii, Porteria hornemannii)は、沖縄本島中南部および周辺離島の沿岸海域一帯で、それぞれ約5〜10kg(湿重量)採集した。それぞれの藻体を室温で乾燥させ、エタノール又はアセトンに数日間浸漬したのち、常法にしたがって含有成分の分離・精製を行ない、各種機器スペクトル(NMR、IR、MS、UV)を測定し構造の解析を行なった。 その結果、L.luzonensisからは10種の新規臭素化セスキテルペンやジテルペン類を既知物質15種とともに単離した。L.brongniartiiからは、チオメチル基やメチルスルホニル基を持った新規臭素化インドール誘導体3種と既知物質を5種類,また、Porteria hornemanniiからはハロゲン化モノテルペン3種類の新規化合物を13種の既知物質とともに得た。現在それぞれの化合物やいくつかのアセチル誘導体などについて数種のカビ:Fsarium moniliforme, Alternaria sp., Cladosporium sp., Gelasinospora retispora、および菌種:Bacillus subtilis、Staphylococcus aureus、Escherichia coliに対しての抗菌・抗カビなどの生物活性試験を検討しているところである。 一般に、多くのLaurencia属の海藻からは主要成分として特徴的な構造をもったハロゲン化テルペノイド類が多く見つかっているが、L.brongniartiiからはこれらのテルペノイド化合物が未だ発見されていないのでそれについても今後なお精査、検討する必要がある。
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