研究概要 |
本年度は,主に褐藻Stypopodium zonaleの成分研究及びS. zonale, Laurencia luzonensis, L. brongniartii, Porteria hornemanniiからこれまでに単離された化合物の生理活性テストを行った.沖縄県中部の金武湾沿岸で採集されたS. zonale (9.75Kg)をエタノールに数日間浸漬した後,常法にしたがって分離・精製を行ない,各種機器スペクトル(NMR, IR, MS, UV)を測定し構造の解析を行なった.その結果,多くの既知化合物と共に,6種の新規メロジテルペンを得た.この内4種の化合物は,枯草菌(Bacillus subtilis)に対し一定の阻害活性を示し,さらに炎症性サイトカイン(TNF-α)の働きを阻害することもわかった.また,この内の1種はヒトの胚性腎細胞(HEK-293)におけるアセチルコリンエステラーゼの働きを阻害した.L. luzonensisからは,前年度報告した新規化合物(10種)に加え,さらに5種の新規セスキテルペンを単離した.これらの化合物について生理活性試験を行ったところ,この内の2種はHEK-293におけるアセチルコリンエステラーゼの働きを阻害することがわかった.L. brongniartiiから単離された化合物の内,2種はCOX-1,COX-2に対して強い阻害活性を示した.また,この内の1種はHistamine H_2に対しても強い阻害活性を持つ事がわかった.P. hornemanniiから得られた3種の新規ハロゲン化モノテルペン及びそのアセチル化誘導体について活性試験を行った結果,この内の2種のアセチル化誘導体がAlternalia sp.に対して強い抗カビ活性を示した.また,1種の新規化合物と3種の既知化合物がブラインシュリンプ(Artemia salina)毒性試験において強い活性を示した.
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