研究概要 |
本研究ではメタルテンプレート法を利用したジアミンとジアルデヒドの等モルシッフ塩基反応により、巨大環状金属多核錯体を得る方法論を確立した。環状サイズを制御する可変ファクターとして、1)金属イオン、2)カウンター陰イオンの2つに加え、特に3)長鎖ジアミン上の配位性ヘテロ原子導入、が最も重要であると考え、新規長鎖ジアミン3, 6, 9-trimethyl-3, 6, 9-triazaundecane (N5ジアミン)、1, 14-diamino-3, 6, 9, 12, -trimethyl-3, 6, 9, 12-tetraazatetradecane (N6ジアミン)、1, 14-diamino-3, 12,-dimethyl-3, 12-diaaza-6, 9-dioxatetradecane (NOONジアミン)2つを合成し、1)〜3)の組み合わせを変える事で10種以上の環状金属錯体を合成する事に成功した。巨大金属環状構造を導くには2価の金属酢酸塩(例えばCo(II)、Zn(II)、etc)をメタルテンプレートソースに用いる必要があるが、N5ジアミンを用いた場合はbis (μ-phenoxo) bis (μ-acetato)架橋タイプの環状四核構造を与える傾向が高く、N6ジアミンスペーサーを用いると1:1シッフ塩基環化反応が進行し、(μ-phenoxo) (μ-acetato)架橋タイプの二核錯体を与える事を明らかにした。一連の二核錯体のX線結晶構造解析に成功し、錯体中の2個の金属イオンの配位空きサイトがシス位に隣接している事を突き止め、多くの二核金属酵素の構造及び機能モデルとして有用である事を提案した。
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