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2004 年度 実績報告書

超分子シクロデキストリン複合体センサーの設計と機能界面の構築

研究課題

研究課題/領域番号 16550066
研究機関東北大学

研究代表者

早下 隆士  東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70183564)

キーワード超分子形成 / 分子複合体 / 化学センサー / シクロデキストリン / クラウンエーテル / アゾ色素 / アルカリ金属イオン / 誘起円二色性
研究概要

ベンゾ-15-クラウン-5(B15C5)を認識部位に持つ蛍光プローブをγ-シクロデキストリン(γ-CyD)の包接化合物として水中に可溶化すると,バルク溶液中とは全く異なる応答が起こる。プローブ分子のK^+イオンに対する2:1錯生成定数は水中で3.8x10^9M^<-2>と算出され,これはメタノール中で観察されるB15C5の値(1.4x10^6M^<-2>)と比べて1000倍も高い値であった。
そこで本研究では,これらの応答因子を解明するために,アルキル鎖長の異なるB15C5型アゾプローブCn-Az(n=1,2,4)を新規合成し,γ-CyD包接錯体のアルカリ金属イオン認識挙動に及ぼすプローブ構造の効果を詳細に検討した。Cn-Az/γ-CyD複合体の0.10Mアルカリ金属塩存在下での応答挙動を調べた結果,紫外・可視吸収スペクトル変化では,C1-Az、C2-Az、C4-AzいずれもK^+イオン選択性を示す短波長シフトが見られた。一方,円二色性スペクトルでは大きな違いが現れ,C1-AzとC2-Azを比較すると,γ-CyDへの包接能の増大に伴って,K^+イオンに選択的な強い円二色性スペクトル変化が現れることが分かった。しかし,より鎖長の長いC4-Azでは,円二色性スペクトルのK^+イオンに対する応答は全く見られず,テトラメチルアンモニウム(TMA^+)イオン存在下で異常に大やな円二色性スペクトル応答が起こることが分かった。このような紫外・可視吸収スペクトルと円二色性スペクトルの応答の違いは,誘起円二色性スペクトル応答が,シクロデキストリンとアゾプローブの相対的な位置の変化に強く依存する結果であり,特にC4-Azの応答結果は,異なる包接錯体構造が生成しているためと考えられる。
以上のように,シクロデキストリン複合体センサーの応答は,プローブのアルキル鎖長によって大きな影響を受けることが明らかとなった。また,C4-Azについてはγ-CyDが存在しない条件でもK^+イオン選択的な応答を示すことを見出した。これは,水中でアルカリ金属塩に応答する新しい自己会合型の超分子試薬として期待できる現象である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2005 2004

すべて 雑誌論文 (5件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Lead Ion Selective Signal Amplification by a Supramolecular Podand Fluoroionophore/Surfactant Complex Sensor in Water2005

    • 著者名/発表者名
      T.Hayashita, Dai Qing, R.A.Bartsch, N.Teramae
    • 雑誌名

      Supramol.Chem. 17(1-2)

      ページ: 141-146

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [雑誌論文] Design of Supramolecular Cyclodextrin Complex Sensors for Ion and Molecule Recognition in Water2004

    • 著者名/発表者名
      T.Hayashita, A.Yamauchi, A.-J.Tong, J.C.Lee, B.D.Smith, N.Teramae
    • 雑誌名

      J.Incl.Phenom. 50

      ページ: 87-94

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] Potassium Ion Selective Signaling Based on Intramolecular Dimer Formation of Biscrown Ether Azochromophore-Chemosensor Exhibiting Forceps Function-2004

    • 著者名/発表者名
      T.Hayashita, A.Murakami, N.Teramae
    • 雑誌名

      Chem.Lett. 33(5)

      ページ: 568-569

  • [雑誌論文] ニューラルネットワーク解析を利用した化学センサー設計の新展開2004

    • 著者名/発表者名
      早下隆士
    • 雑誌名

      化学 59(1)

      ページ: 68-69

  • [雑誌論文] トポロジカル分子がつくる新しい分子認識空間2004

    • 著者名/発表者名
      早下隆士
    • 雑誌名

      ぶんせき 2004(6)

      ページ: 335-336

  • [図書] 超分子科学-ナノ材料創製にむけて2004

    • 著者名/発表者名
      早下隆士(分担執筆)
    • 総ページ数
      490
    • 出版者
      化学同人

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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