研究課題/領域番号 |
16550070
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
陳 競鳶 福井大学, 工学研究科, 助教授 (50311676)
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研究分担者 |
青木 幸一 福井大学, 工学研究科, 教授 (80142264)
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キーワード | 銀ナノ粒子 / 電気化学分析 / 脂肪酸銀 / 可視紫外スペクトル / ステアリン酸 / ボルタンメトリー / 電気抵抗 / 相転移温度 |
研究概要 |
ナノテクノロジーの物質の代表格である金属ナノ粒子は、原子間に働く凝集力と粒子間に働く反発力をあわせ持つ二重構造の複合体である。低温分解から合成できる脂肪酸銀粒子は、均一粒径・量産可能・溶媒への分散可・高い安定性があると考えられる。その粒子の分析化学上の重要性を把握するため、分光学・電気化学・TEMなどを用いて、ナノ粒子の二重構造を溶液平衡による分析化学の観点から議論することを目指す。本年度に達成できた成果は、 (1)低温分解法により、アルカンの炭素数が8から18までの脂肪酸銀ナノ粒子を合成した。 (2)合成したナノ粒子の溶媒を選択した。シクロヘキサンが最良の溶媒であった。 (3)ナノ粒子溶液の可視紫外スペクトル、対応する脂肪酸銀分子の溶液のスペクトル、ナノ粒子溶液を展開乾燥した膜のスペクトルを測定し、バンドの帰属、対応関係を調べた。 (3)可視領域最大吸収バンドから、ミー理論から予想される平均粒径を算出した。 (4)電気化学測定(サイクリックボルタンメトリ)を行い、種々のアルカン鎖長さをもったナノ粒子のボルタモグラムが以前測定したステアリン酸銀ナノ粒子と同等であるかどうか、定量的に検討した。酸化波および還元波共に拡散律速挙動であった。電流の比から、金属銀と脂肪酸銀の粒子数の比を算出した。 (5)金属銀を酸化滴定することにより、金属銀と脂肪酸銀の粒子数の比を算出した。 (6)TGAを用いて、金属銀と脂肪酸銀の粒子数の比を算出した。そのデータを利用して、活性化エネルギーを求めた。活性化エネルギーはアルキル鎖長に一次であり、0に外挿すると、鎖長は7であった。つまり、7以下の鎖長をもつ脂肪酸銀はナノ粒子は生成できない。 (7)ナノ粒子を加熱することにより、220℃以上で金属銀になることを見出した。その電気抵抗と昇温速度の関係から、活性化エネルギーを求めた。TGAによる値の半分であった。
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