研究概要 |
ゾル-ゲルガラスは,様々な優れた特徴をもち,生体適合性にも優れているため,その応用が期待できる。本年度は,昨年に引き続きイオノフォアを化学結合させた有機・無機複合材料によるイオンセンサーの開発を試みた。また,ナノ材料として注目を浴びているメソポーラスシリカをイオンセンサーの材料として使用し,新規センサーの開発を試みた。 1.ゾルーゲルガラスイオン感応膜を用いるカルシウムイオンセンサー 昨年度合成したアミド結合部位を2カ所含み,かっ末端に二重結合部位を含む化合物(1)の二重結合部分に白金酸を触媒としてトリクロロシランを反応させた後にエタノールと反応させることで,1にトリエトキシシラン部位を導入した。従来の方法では反応しないが,白金酸の量と添加するタイミングを工夫することで目的物が得られた。また,テトラエトキシシラン(TEOS)とジエトキシジメチルシラン(DEDMS)の混合物に1を10wt%含むように添加し,アニオン排除剤を加えたゾルーゲルガラス膜を電界効果型トランジスタ(FET)上に作製し,カルシウムイオンに対する電位応答を測定した。これは,TEOSとDEDMSの割合の最適化することで,カルシウムイオンに対して低濃度から感度良く応答し,優れたカルシウムイオン選択性を示した。 2.メソポーラスシリカを用いるイオンセンサー 界面活性剤としてセチルトリメチルアンモニウムブロマイド,金属アルコキシドとしてTEOSを用い,イオノフォアとしてトリエトキシシラン部位を有する16-クラウン-5誘導体を用いて,メソポーラスシリカを作製した。粉末X線構造解析と比表面積測定により,16-クラウン-5誘導体を含むメソポーラスシリカ(2)が作製できたことを確認した。これを用いてイオン感応膜を作製することを試みたが,2だけでは成膜することができなかった。そこで,TEOSとDEDMSの混合物に2を添加し,FET上に膜を作製した。ナトリウムイオンに対する応答を測定したところ,高濃度域では応答が得られることが分かった。
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