研究概要 |
様々な優れた特徴をもつゾルーゲルガラスは,センサー材料としての応用が期待できる。本研究では,イオノフォアを化学結合させた有機・無機複合材料によるイオンセンサーの開発を試みた。また,新規センサー材料としてメソポーラスシリカを使用したセンサーの開発も試みた。 1.ゾルーゲルイオン感応膜を用いるアニオンセンサー トリエトキシシラン部位とチオ尿素部位を含む化合物(1)を合成した。テトラエトキシシラン(TEOS)とジエトキシジメチルシラン(DEDMS)の混合物に1を様々な割合で添加したイオノフォア結合型ゾルーゲルイオン感応膜を電界効果型トランジスタ(FET)上に作製したが,硫酸イオンに対して,ほとんど電位応答を示さなかった。一方,より柔軟なシリコーンゴムを用いて,1を含むイオン感応膜を作製した場合には,硫酸イオンに対して,ほぼネルンスト応答を示した。 2.ゾルーゲルイオン感応膜を用いるカルシウムイオンセンサー アミド結合部位(2カ所)と側鎖の末端に二重結合部位を含む化合物(2),2にトリエトキシシラン部位を導入した化合物(3)をそれぞれ合成した。TEOS, DEDMSの混合物に2を添加した包埋型ゾルーゲル感応膜をFET上に作製したところ,カルシウムイオンに対して感度良く応答した。3を用いた化学結合型ゾルーゲル感応膜も,感度良く応答した。また,どちらの感応膜も優れたカルシウムイオン選択性を示した。 3.メソポーラスシリカを用いるイオンセンサー TEOS,セチルトリメチルアンモニウムブロマイド,トリエトキシシラン部位を有する16-クラウン-5誘導体を用いて,イオノフォアを化学結合したメソポーラスシリカ(4)を作製した。TEOSとDEDMSの混合物に4を添加し,FET上にイオン感応膜を作製した。ナトリウムイオンに対する応答を測定したところ,高濃度域では比較的感度良く応答した。
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