ヒト血漿タンパク質の非変性条件のマイクロ2次元ゲル電気泳動(ゲル等電点電気泳動とサイズ分離ゲル電気泳動のいずれにも変性剤を用いず、縦横38mm、厚み1mmの平板ゲル上に2次元分離する)によるパターンと、部分的変性条件のマイクロ2次元ゲル電気泳動(非変性条件の等電点電気泳動とSDSゲル電気泳動を組み合わせ、同じマイクロサイズの平板ゲル上に分離する)によるパターンを比較することによって、タンパク質間相互作用の存在を確認した。また、これらパターン上でのタンパク質(非変性条件157スポット、部分的変性条件175スポット)について、網羅的に質量分析による構造解析を行った。質量分析による構造解析には、主としてマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計MALDI-TOFMSとデータベース検索によるペプチドマスフィンガープリント法を用いた。これらの構造解析結果を比較した結果、非変性条件の2次元ゲル電気泳動と部分的変性条件の2次元ゲル電気泳動の組み合わせのみによって、ヒト血漿タンパク質の(相互作用による複合体形成状態を含む)存在状態を解析することができることが明らかになった。2次元ゲル電気泳動法は従来完全変性-還元条件で行われてきたが、質量分析によるタンパク質同定法の進歩により、研究代表者らが開発した非変性条件の2次元ゲル電気泳動は、さらにその有用性が高まったと考えられる。
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