研究課題
基盤研究(C)
1.研究の目的(1)本研究は金属酵素から形成されるアポ酵素が特定の重金属イオンに対して特異的捕捉能を保持していることに着目し、アポ酵素への金属イオンの添加に起因する触媒機能の回復を計測利用することで、重金属イオンの新規計測法(アポ酵素活性化法)の確立を目的とした。(2)この目的を果たすため、高感度・高選択性・迅速性に富む操作性に優れたフローインジェクション分析(FIA)システムを構築することとした。備品としての高性能プランジャーポンプやフロー式紫外・可視光検出器の調達が、システムの構築並びに再現性のある計測の実現に役立った。(3)アポ酵素への温和な物理的変換のため、酵素固定化物充填リアクターの出入り口に白金製の細管を取り付け、定電流を印加できるようにした。2.研究実施計画との対応(1)平成16年度では、キレート化剤によるアポ酵素への化学的変換法を適用し、通電法によるアポ酵素への変換法との比較検討を行った。ピリジンジカルボン酸塩(PDC)やEDTAを使用すると、大腸菌由来のアルカリホスファターゼ(ALPと略記)では、前者によって効率的に触媒活性が示されなくなり、一方、仔牛小腸由来のALPでは、EDTAが有効であることが確認された。また、アポ酵素とポロ酵素(天然に取得される金属酵素の状態で、活性部位に重金属イオンが配位している)間の相互変換過程を詳細に検討した結果、PDCではそれ自身が酵素表面に吸着するため、見かけ上、基質が活性部位に配位出来ず、触媒活性が発現できなくなるためと示唆された。(2)平成17年度では、マスキング剤としてルジメチルカルボキシサルコシン(DTCS)をマスキング剤として適用し、コバルト(II)イオンが共存しても、亜鉛(H)イオンを選択的に計測できることを確かめた。さらに通電法に基づくALPのアポ酵素への変換は定量的に進行し、また酵素カラムには著量の亜鉛(II)イオンが酵素カラム中に吸着されることも判明した。そこで、過剰量の金属イオンの吸着を避けるため、担体を微細孔性ガラス粒子(通称CPG)から金メッシュ(商品名:金の網状成型加工物)に換え、しかも固定化と通電とを同時にできるデバイスを創案し、計測精度の飛躍的向上に成功した。この成果は本計測法の今後の実用化研究の展開に決定的な知見をもたらすものである。
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