研究概要 |
本研究ではp-t-ブチルカリヅクス[n]アレーン(n=4,6,8)、BC_nを担持したシリカゲル粒子(BC_n-Si)とイオン交換樹脂(BC_n-PS_n)を調製し、いくつかの小分子に対するそれらの吸着性を検討した。 BC_nを担持したシリカゲル粒子(BC_n-Si)は3-グリシドキシプロピルメトキシシランとBC_nを少量の過塩素酸存在下にトルエン中で反応させてフェニルエーテル体を調製し、生じたエーテル体を脱メタノール反応によりシリカゲル粒子に結合して調製した。BC_nを担持したイオン交換樹脂(BC_n-PS_n)は、BC_nと3-プロモプロパンスルホン酸ナトリウムを水素化ナトリウムとヨウ化カリウム存在下に反応させて、BC_nの水酸基を3-スルポプロピルエーテル誘導体とした後、陰イオン交換樹脂、AGMP-1にイオン交換反応により担持させた。 これらの粒子の吸着性を3種のスチルベン系カチオン色素分子、4種の縮合多環式炭化水素及びフラーレンC_<60>などに対して検討し、スチルベン系カチオン色素分子に対する吸着性からBC_nの分子空孔による吸着性が発現されていることを確認した。しかし、これらの吸着体のフラーレンC_<60>に対する吸着性はどれも小さかった。特にBC_8担持吸着体に期待された結果が得られなかったことは、これらの吸着体中におけるBC_nの立体構造がアルタネート型などの構造で固定されているため不揃いで、弱い相互作用の吸着に適した分子空孔濃度が不足しているためと思われる。今後、BC_nの立体構造を制御して担持させる方法の開発が必要と思われる。
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