研究概要 |
平成16,17年度において,入手容易な4-cyclopentene-1,3-diol monoacetate(以下,五員環モノアセテート)から出発して,動脈硬化に関連する新規プロスタグランジンを含むphospholipidと核内レセプターアゴニスト活性をもつΔ^<12>-プロスタグランジンJ_2(Δ^<12>-PGJ_2)の合成に成功した。平成18年度はこれらの知見を活かして以下の研究を行なった。 (1)植物のリノレン酸代謝産物のうち,チュベロン酸,Δ^2-OPC-8:0,OPC-6:0を合成した。特に,チュベロン酸の合成では,側鎖末端にある水酸基の保護と脱保護のタイミングに加え,シス配置の2つの側鎖を異性化せずに脱保護する試薬の探索が重要であった。我々は保護基としてTHPを用いた。既存の酸ではこれを脱保護できなかったが,MgBr_2を用いて目的を達した。 (2)五員環モノアセテートの知見を六員環化合物に適用し,アルケニル基を選択的に導入する条件を見いだした。そしてこの反応生成物を使ってCannabidiolとその誘導体を合成した。 (3)(2-propargyl)MgBrとCuCNから調製した銅試薬を使って2-propargyl基を五員環上に効率よく導入できた。この生成物から,2-(5,6-epoxyisoprostane)phosphorylcholineを合成することに成功した。また,前年度に合成したΔ^<12>-PGJ_2を短段階で合成できた。 (4)五員環上に1つの側鎖を有するエノンを合成し,インドールアルカロイドとイソキノリンアルカロイドの合成を行なった。
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