研究概要 |
イリジウム錯体触媒を用いた炭素-炭素結合及び炭素-窒素結合生成反応を検討し以下の知見を得た。 1)[Ir(cod)Cl]_2/dppe触媒存在下1,1-disubstituted-2,3-butadienyl acetateとマロン酸エステルのナトリウムエノラートの反応はアセトキシ基が置換した生成物を高収率で与えた。この反応によってアレンのα位に4級炭素を構築することができた。本反応は1-methylene-3,3-disubstitued π-アリルイリジウム中間体を経由して進行する。 2)[Ir(cod)Cl]_2/dppe触媒存在下1,6-エンインとモノインの付加環化反応が進行し、シクロヘキサジエン誘導体が高収率で得られた。1,6-エンインのアリル位に置換基を有する基質とモノインの付加環化反応は高ジアステレオ選択的に進行した。配位子としてdppfを用いると1,6-エンインの環化異性化反応が進行し、1,2-アルキリデンメチレンシクロペンタンが得られた。これらの反応は1,6-エンインの酸化的環化によって生成するイリダシクロペンテン中間体を経由して進行する。 3)[Ir(cod)Cl]_2/dppe触媒存在下1,6-heptadiyneとモノインの付加環化反応が進行し、ベンゼン誘導体が高収率で得られた。本反応は1,6-ジインの酸化的環化によって生成するイリダシクロペンタジエン中間体を経由して進行する。1,8-Octadiyneと1-alkyneの付加環化では、メタ体とオルト体が得られる。配位子としてdppeを用いた場合、高選択的にメタ体が得られた。Dppfを用いた場合、高選択的にオルト体が得られた。 4)[Ir(cod)Cl]_2/P(OPh)_3触媒存在下(R)-1-Phenyl-2-propenyl carbonateとbenzylamineの反応を行った。生成物としてR体のアリルアミンが得られた。アリル位アミノ化反応が立体保持で進行することがわかった。
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