研究概要 |
本研究では、天然コラーゲンのアミノ酸配列中に頻繁に出現するtripletをゲスト部に導入し、らせんの形成を促進する(Pro-Pro-Gly)nや(Pro-Hyp-Gly)nをホストとするホスト・ゲストペプチド単結晶の高分解能解析から、ゲストtripletのとるらせん構造を調べることで奥山モデルの検証を行うことを目的としている。以下に、本年度の実績を述べる。 (1)ホスト・ゲストペブチドの合成と単結晶化 海外共同研究者であるBachinger教授等により合成されたPPG4-OOG-PPG4,PPG4-OSG-PPG4,PPG4-OTG-PPG4,PPG4-ONG-PPG4,PPG4-ODG-PPG4(但し、PPG4=(Pro-Pro-Gly)4,O=Hyp)については、全て単結晶を得、予備的なX線回折実験も終了している。 (2)放射光を用いた回折強度測定と構造解析 既に単結晶を得ていたPPG4-POG-PPG4,PPG4-OPG-PPG4,PPG4-P4sOG-PPG4について、強度データ測定を行い、構造解析もほぼ終了させた。これ等ペプチドにPPG9を加えて、ヘリックス・コイル転移温度から見たらせんの安定性と、構造解析により得られたプロリンリングのパッカリング状態とを関連付ける事が出来、速報誌に投稿中である。また、(1)で述べた一連のペプチドについても、多くのものは放射光でデータ測定を終了し、PPG4-OOG-PPG4,PPG4-OTG-PPGでは構造解析もほぼ終了している。 (3)本研究スタート時に既に解析を進めていたペプチドに関して 該当するペプチドに、PPG9とPPG4-PAG-PPG4があるが、前者についてはc=8nmのfull cell構造を投稿中であるし、後者については100Kでの低温構造のほかに室温構造も解析し、現在投稿準備中である。
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