研究概要 |
電気光学効果とは,物質の屈折率が外部電場に応じて変化する効果であり,屈折率の変化にともなって透過率,反射率,旋光度などの光学的性質も変化する。屈折率の変化が外部電場に比例するとき一次または線形の電気光学効果と呼ばれ,外部電場の二乗,三乗・・・に比例するとき二次,三次・・・の非線形電気光学効果と呼ばれる。一次の電気光学効果を示す物質は多数あり,比較的よく研究されているが,二次の電気光学効果を示す光学材料については更なる研究が望まれる。 そこで,今回の研究費でおこなう本研究の目的は, (1)当研究室で開発した前述の極性体について更に精度の高い測定をおこない,単結晶の三つの結晶軸それぞれの方向に電場を印加したときの,それぞれの方向の光に対する電気光学係数を厳密に決定すること。 (2)可視,近赤外領域に吸収帯を持たない亜鉛(II)錯体を構造制御モチーフに用いることで,より光透過性に優れた極性体を開発すること。 (3)極性体の部品となる錯イオンの形を制御することで電気双極子モーメントを増大させ,より大きな電気光学係数の極性体を見いだすこと。 であった。 (1)については,直流電場を印加しながら単結晶表面の反射スペクトルを測る装置を開発し,新たに作成した光学活性な二核ニッケル(II)錯体の単結晶について電気光学効果を観測することに成功した。(2)については,前述のニッケル錯体と同形の無色の亜鉛(II)二核錯体を合成したところであり,目的に向かって研究を進めているところである。(3)については新たに光学活性な二核化配位子を合成して,亜鉛(II)二核錯体を合成し,溶液中での性質を調べ終わったところである。
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