研究概要 |
当該研究期間において,以下の課題に取り組み成果を得た。 1)大環状クラウンエーテル型ポルフィリン二量体の協働的不斉誘起:クラウンエーテル類を「形の制御」部位に活用する機能性ポルフィリンの合成をおこなった。ジアザ-ジベンゾ-30-クラウン-10を架橋部位にもつピスポルフィリン(1)は,K^+の添加に伴い"U"字型のビスポルフィリン反応場を形成する。そこで,キラルジアミン類を添加したところ,K^+存在下協働的な不斉誘起を観測した(Chem.Commun.,2004,1394-1395)。また,クラウンエーテル部位はイオノフォアとして働く。われわれはアミノ酸の不斉読み出しを目的に,液(1,CH_2Cl_2)-液(アミノ酸,1N KOH水溶液)を検討した結果,水溶液中に存在するアミノ酸の不斉に相関した円二色性(CD)スペクトルを観測することに成功した。 2)自己組織化キラルプローブの創出:15-クラウン-5共役型亜鉛ポルフィリン(2)単独では、溶液中でキラルジアミン類を添加してもCD不活性である。しかしながら,K^+の添加はCD活性を導いた。これはK^+とそのジアミンが協働的に作用した結果,2の自己組織化を導いたものと考察した。この知見は自己組織型キラルセンシングの方法論を与える(特願2006-041991)。 3)自己組織型センサー:要素間相互作用の設計と制御にもとづく機能プログラミングの概念は,自己組織型分子センサーシステムの構築に有効である。われわれは,アリザリン系色素の光学特性が,フェニルボロン酸と可逆的なボロネートエステル構造を形成すると劇的に変化する性質に着目して,自己組織聖の金属イオンセンサー(J.Mater.Chem.,2005,15,2889-2895)やアニオンセンサー(Chem.Commun.,2005,2846-2848)を提案した。
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