研究課題/領域番号 |
16550127
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
白上 努 宮崎大学, 工学部, 助教授 (60235744)
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研究分担者 |
保田 昌秀 宮崎大学, 工学部, 教授 (00174516)
松本 仁 宮崎大学, 工学部, 助手 (90363572)
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キーワード | アンチモンポルフィリン錯体 / 軸配位子 / カチオン交換性層状粘土 / 層構造 / 粘土複合体 / 光電子移動 / 粘土複合膜 / 蛍光消光 |
研究概要 |
前年度、ピリジニウムカチオン部位を軸配位子として持つアンチモンポルフィリン錯体とカチオン交換性層状粘土(スメクトンSA ; SSA)との複合体形成過程を検討した結果、軸配位子としてカチオン部位をもつ場合には、複合体形成の過程おいて層構造が保持され、粘土のアニオン部位と軸配位子のカチオン部位との静電的相互作用が層構造制御に重要であることを明らかにした。 今回の研究では、軸配位子部位と粘土アニオン部位との相互作用の関与をより明確にするために、軸配位子のカチオン部位周辺における立体環境の変化が層構造形成に与える影響について検討した。まず、ヨードアルキルとの4級化反応で得られる種々のアルキル基(メチル、エチル、イソプロピル、n-ブチル、n-ヘキシル、n-オクチル)を持つピリジニウムカチオンを軸配位子とするアンチモンポルフィリン錯体の合成に成功した。次にこれらの錯体とSSAとの複合体形成において、オクチル基以外の錯体では層構造形成が認められた。オクチル基ではアモルファス構造を取ることから、層構造形成を阻害するためには、軸配位子周辺での大きな立体障害が必要であることがわかった。 また、前年度明らかにした粘土ナノシート上でのアンチモンポルフィリン錯体とピラニンとの光電子移動反応において、軸配位子の構造とピラニンとの電子移動の関係を検討した結果、ピラニンのスルホン酸アニオン部位と静電的あるいは水素結合相互作用が可能である軸配位子(ピリジニウムカチオンあるいは水酸基)を持つアンチモンポルフィリン錯体では、高効率な電子移動が粘土ナノシート上で進行することがわかった。さらにピラニンの代わりの色素として、ポルフィリン分子への有効な励起エネルギー供与分子として知られているボランージピリン錯体を用いて検討した結果、粘土ナノシート上でのアンチモンポルフィリンとの間でエネルギー移動が進行することも明らかにした。
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