研究課題
基盤研究(C)
本研究では、残留農薬の生体への影響を未然に防止し、国民の健康と安全を守るという観点で、表面プラズモン現象(SPR)に基づく多成分同時計測可能な新規光学系を考案し、残留農薬を一斉・同時分析するための掌サイズの農薬検出機器としてマルチチャンネルSPR免疫化学センサの研究・開発を行った。5チャンネル表面プラズモン共鳴現象(SPR)装置を、高感度や安定性について向上させリアルタイム多点計測を携帯型で実現するために、波長770nmLED発光ダイオード光を金薄膜付着プリズム上に線焦点を結ばせ、線焦点上の各チャンネルからの反射光を効率的に検出させ、シリンドリカルレンズ、空間フィルター、2048pixel CCDラインセンサを組み合わせた光学部品の配置、光路長、干渉など理論・実験の両面から検討・改良した。マルチチャンネルで自動計測するために、計測基盤のファームウエアソフトを開発し、さらにパーソナルコンピュータの計測ソフトウエアの開発をして、オンサイトで多点計測できる携帯型5チャンネルSPR測定装置(16x9x5cm)を開発した。金基盤とシリコン支持体で構成される5チャンネルセンサセルを試作し、抗体の固定化は金の表面にチオール、スルフィドなどを用いて自己組織化単分子膜を形成させ、農薬の抗体を固定化した。抗体としてカルバリル系農薬の薬剤である2-4ジクロロフェノール、有機塩素系農薬であるペンタクロロフェノール、クロロニコチニル系殺虫農薬であるイミダクロプリドなどを用い、農薬2-4ジクロロフェノール、ペンタクロロフェノール、イミダクロプリドをそれぞれ検出した。これより、オンサイトで残留農薬の多成分分析に有効な携帯型マルチチャンネルSPRセンサの基盤研究開発技術が確立された。
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Sensors and Actuators B 108
ページ: 893-898