研究課題/領域番号 |
16550136
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
境 幸夫 宮崎大学, 教育文化学部, 教授 (50041059)
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研究分担者 |
中林 健一 宮崎大学, 教育文化学部, 助教授 (60201670)
馬場 由成 宮崎大学, 工学部, 教授 (20039291)
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キーワード | 再生塩化ビニル / カプリコート / 溶解度 / イオン交換 / パラジウムイオン / 金イオン |
研究概要 |
研究計画に基づき実験を進め、次の結果を得た。 1.再生塩化ビニルを母材とするイオン交換体の調整と安定性についての評価 前年度に再生塩化ビニルに陰イオン交換体であるカプリコートを担持させたところ、カプリコートの水への溶解度が大きい(10^<-3>モル濃度オーダー)という問題点があることが分かったため、その解決法について検討した。その結果、水に塩類を溶解させた場合、10^<-5>モル濃度オーダーまでカプリコートの溶け出しを抑えることができることが判明した。抑制力は、塩の種類と濃度に依存する。種類では、NaClO_4>KNO_3>NaClの順に抑制力は低下し、また塩の濃度が高いほど溶解度は小さくなる効果が見られた。この抑制効果の理由として、陰イオン交換体のカプリコートが対イオンの種類によって水に対する溶解度が異なることと共存させる塩による塩析効果が考えられる。 2.再生塩化ビニルに担持させた陰イオン交換体を用いる金属イオンの捕捉について カプリコートを担持した塩ビを用いて、塩酸溶液からのパラジウム(II)イオンあるいは金(III)イオンのイオン交換実験を行った。その結果、担持させるカプリコート量を3%以上としたPVC,1gを、100ppmの金溶液50mlに投入・攪拌して金濃度の分析を行ったところ1時間以内にイオン交換された。これに対し、パラジウムイオン溶液ではイオン交換速度は遅く90%の交換に要する時間は10時間ほどであることが判明した。この交換速度の違いは、イオン交換される金属の陰イオン錯体の違いによるものと考えられる。このような交換速度の違いは金属の分離の観点からは利用価値が高い。溶け出すカプリコートについても同時に分析を行っているが、1で述べた塩効果により、20時間攪拌しても10^<-5>モル濃度オーダーに押さえられている。今後金の濃縮への本法の応用を念頭に研究を進める予定である。
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