研究計画に基づき実験を進め、次の結果を得た。 再生塩化ビニル樹脂を抽出母材とする場合の可塑剤の役割評価 本研究は再生塩化ビニルの疎水性に着目し、疎水性有機物の分離や疎水性抽出剤を担持させた陰イオン交換体の調製と評価を目的とするが、塩化ビニルには可塑剤が約30〜40%添加されており、疎水性物質の吸着においては可塑剤の役割が大きいと思われる。 そこで本年は、可塑剤を含まないポリ塩化ビニル樹脂、可塑剤単品、再生農業用塩化ビニルグラッシュ(粉砕物)をそれぞれ用いてフェノールおよびその類縁体の分配実験を主として行ってきた。その結果、可塑剤単体に対するフェノールをはじめとする有機物の分配は1〜2時間程度で平衡に達すること、可塑剤に対する分配定数の大きな溶質ほど塩化ビニル樹脂(可塑剤無し)や再生ポリ塩化ビニル樹脂に対する分配量が多いこと、再生塩化ビニルへの分配定数は可塑剤の3〜4分の1であることなどの知見を得た。再生塩化ビニル剤は柔軟性を与えるために多量の可塑剤を使用しているため、有機物の溶かし込みにはこの可塑剤が大きな役割を果たしていると考えられる。また可塑剤に比べて分配定数が小さいのは、塩化ビニル中の可塑剤量が相対的に小さいためと解釈できた。フェノール以外のアミン類、芳香族の有機酸類の種々の置換体について検討し、置換基の分配平衡に対する効果に一定の法則性を見いだした。
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