研究概要 |
1.合成計画 (1)インドールアルカロイドを認識素子とする新規DNA結合分子の液相合成法の開発 平成17年度はβ-カルボリン誘導体,エリプチシン誘導体についてそれぞれ新たにニトロソユリア部へのリンカーの種類(-CH_2-,-O-,-NH-結合)と長さ(n=2-5)、接合位置を種々変化させた誘導体を合成した。 (2)1,6-ナフチリジン骨格を分子認識素子とする新規DNA結合分子合成法の開発 平成16年度に開発した1,6-ナフチリジン骨格を母核とするDNA結合性新規メチルニトロソユリア誘導体の合成法をさらに展開した。また、今年度新たに関連化合物としてキノロン、キノリンおよびトリアザナフタレン誘導体を取り上げ、その高収率、高効率新規合成法を開発した。特にトリアザナフタレンの中間体であるピリミジン誘導体の4成分連結反応による合成法と2-エチニルアニリンの二分子付加反応によるキノリンの合成法は従来にないまったく新しいタイプの合成法であり、注目に値する。 (3)固相合成法によるインドールアルカロイド誘導体合成法の開発 平成16年度に開発したβ-カルボリン誘導体の固相合成法を改良し、さらに他の誘導体合成への本法の応用の可能性を追求した。 2.生成物(薬物)の機能評価とその作用機構の解明 平成16年度行ったセルラインSarcoma 180,HeLa S-3,L1210に対する抗腫瘍活性試験を、今年度は正常線維芽細胞(NIH 3T3)に拡張し、細胞特異性を調べた。また、薬物の作用機構を膜透過性、細胞のアポトーシスの観点から追求した。また、薬物とDNAの結合モードを磁場一軸配向DNA膜を用いた偏光分光法を用いて決定する新たな方法を開発した。 3.DNA結合性高機能アルキル化分子(DNA-targeting Alkylation Molecule)によるDNAのアルキル化 リンカーの長さ、種類がDNAのメチル化収率、グルーブ選択性に及ぼす影響を詳細に調べ、メチル化の収率の向上、グルーブ選択性の向上を達成することができた。
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