層状化合物は、規則性のある層構造を有しており、その種類によって層間の環境は多種多様であり、層間に他分子をインターカレーションすることによる修飾も可能であり、多方面で利用が検討されている。アニオン性粘土表面へのカチオン性色素、界面活性剤の吸着挙動、層状半導体ニオブ酸へのカチオン性色素、界面活性剤の吸着挙動、層状複水酸化物LDHへの色素の吸着挙動などを検討した。これらは、全て層状化合物であるが、粘土とLDHは平滑な表面形状をしているのに対し、ニオブ酸は、凹凸を持ち複雑な層間の形状をもつ。粘土とLDHは同形置換によって電荷が発生するため、置換原子の種類と位置とその数によって電荷分布が大きく異なり、物理化学的性質も異なる。それぞれの結晶構造を作成し、分子軌道計算によって比較検討した。粘土表面へのカチオン性ポルフィリン吸着におけるサイズマッチング則を、カチオン間距離の異なるポルフィリンと粘土の複合体に関して見いだした。層間を光反応場として利用する場合には、懸濁溶液では散乱によって光の吸収効率が悪く材料としての使用が難しい。そこで薄膜化を行なうことにより色素の密度を高め、さらに透明化によって散乱を減少させ、材料としての性能を高めた。ニオブ酸には、2種類の層間があり、電荷密度が低く剥離し易い層間に多フッ素化アゾベンゼン界面活性剤をインターカレーションすることを実現した。この層は、インターカレーション後、剥離し、同時に自発的に円筒形に巻くことによって、ナノチューブを形成した。これをXRD、AFMによって確認した。光照射によってアゾベンゼン部位による応答性を確認することができた。
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