研究課題/領域番号 |
16550164
|
研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
成田 榮一 岩手大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20111255)
|
研究分担者 |
平原 英俊 岩手大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30241491)
會澤 純雄 岩手大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40333752)
|
キーワード | 層状複水酸化物 / ハイドロタルサイト類 / ビタミンC / ビタミンA酸 / インターカレーション / 有機 / 無機層状複合体 / 安定化 / デインターカレーション |
研究概要 |
本研究では、環境親和性が高く、健康保持に役立つ機能材料の開発を背景に、層状複水酸化物(LDH)を「分子コンテナー(機能有機陰イオンの取り込み、安定化、保存、運搬、放出)」に利用することを目的としている。平成16年度はビタミン類のうちで特に一般的であるビタミンC(L-アスコルビン酸)とビタミンA酸(レチン酸)をゲスト物質として取り上げ、ホストLDH層間への取り込みについて定量的な検討を行った。 A.ビタミンCの分子コンテナーとしてのLDHの機能(再構築法) (1)金属イオンの組み合わせとして、Mg-Al系、Mg-Fe系およびZn-Al系の三種類を取り上げ、それぞれの炭酸型LDHを合成した。また、これらLDHの熱分解により酸化物前駆体を調製した。 (2)ビタミンCの水溶液に酸化物前駆体を所定量添加し、かきまぜながら熟成することにより再水和反応を行なった。この際、Mg-Al系とMg-Fe系についてはビタミンCを層間に取り込んだLDH複合体が生成し、Zn-Al系は再水和反応が起こらず、酸化物前駆体の表面に吸着することが明らかとなった。また、取り込みの等温線を測定し、Freundlichの吸着等温式で整理することができた。 B.ビタミンCおよびビタミンA酸の分子コンテナーとしてのLDHの機能(共沈法) Mg-Al系、Mg-Fe系およびZn-Al系の混合硝酸塩水溶液を用意し、これをビタミンCの水溶液もしくはビタミンA酸のアルコール溶液にゆっくり滴下し、かき混ぜながら加水分解反応を行なうことにより、一段の操作でビタミン型LDHを合成した。この際、Mg-Al系とZn-Al系についてのみ、LDH層間にビタミンCが取り込まれた。また、ビタミンA酸についてもMg-Al系LDH層間に取り込まれることが明らかとなった。 初期の目的が達成できたので、平成17年度はLDH層間でのビタミン類の安定性ならびにイオン交換法による放出特性について定量的な検討を行い、LDHの分子コンテナーとしての利用技術を確立したい。
|