研究概要 |
プロトン伝導性イオン液体の電極界面での電気化学的挙動を明らかにし、優れた"反応場"を得るためのイオン液体の構造を検討することを目的として研究を進めている。 本年度はHTFSI+EMITFSI系及びHTf+2EtHImTfイオン液体中での白金およびPt-Rh合金の酸素還元触媒能および触媒能の安定性について検討した。 HTFSI+EMITFSI系、酸素雰囲気での自然電位はPt、20%Rh-Pt、40%Rh-Pt、Rhでそれぞれ1.04,1.04,0.99,and 0.87V vs.RHEとPt含有量が高いほど高い値を示した。したがって、Pt含有率が高いほど酸素還元触媒能が高いと考えられるが、Pt含有率が高いほうが自然電位の低下速度が大きかった。また、Pt含有率が高いほど定電位分極での酸素還元電流の低下が激しかった。in-situ赤外分光分析により、Pt電極表面に経時的にTFSI^-アニオンが吸着することが分かった。以上より、HTFSI+EMITFSI系では酸素還元活性および安定性の両面から40%Rh-Ptが最も優れた電極触媒であった。 また、HTf+2EtHlmTfイオン液体中での酸素還元触媒能について検討した。白金上での1mVs^<-1>のスロースキャンボルタモメトリーより、0.7V vs.RHE以下ではHTFSI+EMITFSI系より酸素還元電流が小さいものの、開路電位および0.7V vs.RHE以上ではほぼ同等の酸素還元特性を示した。この系はHTFSI+EMITFSI系とは異なり、白金上でも非常に安定した酸素還元特性を示した。したがって、中温形燃料電池用電解質としてはHTFSI+EMITFSI系よりもTFSIアニオンを用いないHTf+2EtHImTf系イオン液体のほうが優れていると考えられる。
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