研究課題
基盤研究(C)
相溶性高分子ブレンドの分子運動における不均一性を支配する因子として、分子間距離が重要であるとの認識から、その距離を変化できる外部パラメータである圧力を利用することが本研究の目的である。平成16〜17年度の2年間で、圧力印加が可能な誘電緩和測定システムの構築を行い、その性能評価のために単純な一成分アモルファス高分子について、高圧下での誘電測定を行った。圧力媒体としてシリコンオイルとケロシンの2種類について調べた。シリコンオイルは粘性(100センチストークス)が高いため、印加できる圧力としては200MPaが上限となった。一方ケロシンでは、400MPaまで容易に圧力を上げることが可能であった。測定試料として、主鎖に平行な双極子(A型双極子)成分を持つ屈曲性高分子であるポリオキシブチレンを選んだ。この高分子はA型双極子を持つことから、末端間ベクトルのゆらぎを誘電緩和(ノーマルモード緩和)として観察できる。実験の結果、ノーマルモードの緩和時間τ_nの対数は、圧力Pにほぼ比例することがわかった。(この様な緩和時間の圧力依存性は過去の研究で明らかにされている。)また、セグメント運動の緩和時間に関しても、同様の関係が成立し、直線の傾きもほぼ同じであった。これらのことから、加えた圧力が試料に伝わっていること、および、圧力印加下でも正常に誘電緩和測定ができることがわかった。常圧下でのポリマーブレンドのダイナミックスに関する研究は、種々の系について調べたが、その圧力依存性に関しては、まだ系統的な実験データが得られていない。ようやく、測定ができる段階に達したところである。今後、高圧誘電緩和測定を行い、動的不均一性と印加圧力との関係について詳しい研究を進め明らかにしていく予定である。
すべて 2006 2005 2004 その他
すべて 雑誌論文 (22件) 図書 (1件)
Journal of Polymer Science Part B: Polymer Physic 44・6
ページ: 967-974
Journal of Polymer Science : Part B : Polymer Physics 44,6
Macromolecules 38・2
ページ: 422-428
Macromolecules 38,2
日本レオロジー学会誌 32・4
ページ: 161-167
ページ: 189-195
日本レオロジー学会誌 32・5
ページ: 265-270
Macromolecules 37・4
ページ: 1558-1564
ページ: 1583-1590
Journal of Polymer Science : Part B: Polymer Physic 42・2
ページ: 4084-4094
Macromolecules 37・20
ページ: 7832-7838
Macromolecules 37・26
ページ: 10215-10216
Nihon Reoroji Gakkaishi 32,4
Nihon Reoroji Gakkaishi 32,5
Macromolecules 37,4
Journal of Polymer Science : Part B : Polymer Physics 42,2
Macromolecules 37,20
Macromolecules 37,26
Journal of Non-Crystalline Solids (印刷中)
Journal of Non-Crystalline Solids (in press)
