研究概要 |
1,4-ブタンジアミンをコア化合物として、ジ-t-ブトキシカルボニル(Boc)リジンを付けて第1世代のリジンデンドリマーを作った。Boc基を外してBoc-リジンを付ける操作を繰返し、球状の第3世代リジンデンドリマーを合成した。この末端にβ-アラニンを結合させてβ-アラニン-リジンデンドリマー第3世代を合成した。β-アラニンの末端アミノ基に還元アミノ化法を使って、マルトースを結合させ、マルトース-β-アラニン-リジンデンドリマー第3世代を得た。末端マルトースに存在する反応性の高い1級水酸基にコハク酸無水物を反応させて、末端がカルボキシル基を有するサクシニル-マルトース-β-アラニン-リジンデンドリマー第3世代を合成した。設計通り、各グループの数は約16ずつであることを500MHz NMRとTOF-MS分析によって確認した。 合成した球状のサクシニル-マルトース-β-アラニン-リジンデンドリマー第3世代にある末端カルボキシル基に環状ペプチドシーケンスを結合させる反応を試みた。環状ペプチドシーケンスは、エイズウイルスのエンベロープ糖タンパク質gp120に含まれる、高い抗原性を示すと言われているV3ループの27アミノ酸残基からなる。反応させるための官能基としてリジンのアミノ基を持っている。このアミノ基をデンドリマーのカルボキシル基と縮合剤EDCで縮合させたが、結合しなかった。2つの化合物の水への溶解性が低いためではないかと結論された。
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