研究課題/領域番号 |
16560001
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
加藤 雅恒 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (50211850)
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研究分担者 |
小池 洋二 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70134038)
足立 匡 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40333843)
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キーワード | 超伝導 / インターカレーション / 電気化学 / リチウム / 電子ドープ / 酸化物 |
研究概要 |
層状ペロブスカイト型鋼オキシブロマイドSr_2CuO_2Br_2に対して、電気化学法を用いて、Liをインターカレーションすることにより、超伝導転移温度T_c=8Kの新超伝導体Li_xSr_2CuO_2Br_2の合成に成功した。 銅酸化物高温超伝導体の母体は絶縁体であり、超伝導化するには母体に適当な量の電子かホールをドープする必要がある。経験則から、伝導面であるCuO_2面のCuの上下に陰イオンがあるときはホールドープ系の、無いときは電子ドープ系の超伝導体になると考えられてきた。したがって、今回着目したSr_2CuO_2Br_2は、ホールドープ系の超伝導体になる可能性があると考えられていた。しかし、Sr_2CuO_2Br_2では、CuO_2面内のCuとOの距離が長く、しかも、Cuの上下にある陰イオンが-2価の酸素ではなく-1価の臭素であることから、負の電荷をもつ電子がCuにドープされやすい状況にある。この点に気が付いたことがこの発見に到った1つ目の要因である。また、電気化学という強力な還元力を利用することにより電子キャリアのドーピングが可能になったことが2つ目の要因である。 これまでに発見された数十種類にのぼる銅酸化物高温超伝導体の多くはホールドープ系であり、電子ドープ系は2種類しかない。また、電子ドープ系鋼酸化物高温超伝導体のT_cはホールドープ系のT_cに比べて比較的低い。このT_c。の違いの原因を明らかにすることは、高温超伝導の発現機構を解明する上で、非常に重要であるが、これまでは、両系では結晶構造が異なるという問題があった。しかし、Li_xSr_2CnO_2Br_2は典型的なホールドープ系超伝導体であるLa_<2-x>Sr_xCuO_4と同じ結晶構造をとるため、この物性を調べれば、電子ドープ系とホールドープ系との比較が単純になり、高温超伝導の発現機構の解明に有力な情報を引き出すことができる。
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