研究概要 |
層状ペロブスカイト型銅オキシハライドSr_2CuO_2Cl_2,Sr_2CuO_2I_2に対して、電気化学法を用いてLiインターカレーションを行なった結果、超伝導転移温度Tc=4.5Kの新超伝導体Li_xSr_2CuO_2I_2を発見した。一方、Sr_2CuO_2Cl_2については、ほとんどLiはインターカレーションされなかった。以前た発見した超伝導体Li_xSr_2CuO_2Br_2を含めて考えると、ハロゲンのイオン半径が大きくなり、a軸長が大きくなるとともに、Liはインターカレートされやすい傾向にある。a軸長が大きいと、Cuが電子を受け入れやすいため、また、Liがインターカレートされるハロゲン二重層間距離が大きくなり結合が弱くなるためと思われる。 また、Dion-Jacobson化合物KCa_2Nb_3O_<10>は、銅酸化物高温超伝導体と同じく、層状ペロブスカイト型の結晶構造を有する。NbO_6八面体が3つ連なった構造を有するが、Kが欠損したKO_2層を有する。その欠損サイトにLiイオンを挿入することが可能である。以前、我々は、電気化学法(定電圧法)によりLiインターカレーションを行い、同じ結晶構造を有する新超伝導体Li_xRbSr_2Nb_3O_<10>, Li_xCsSr_2Nb_3O_<10>を発見した。しかし、Liの不均一のため超伝導体積分率が3%と小さかった。そこで、定電流法でLiインターカレーションを行なった結果、均一にLiがインターカレートし、超伝導体積分率は23%まで増加した。磁場侵入長を考慮すると試料のほぼ全体が超伝導化したと考えられる。さらに、同じ結晶構造を有するCsSr_2Ta_3O_<10>、BaLa_2Ti_3O_<10>に対してもLiインターカレーションに成功した。しかし、超伝導は出現しなかった。その原因は、ポーラロン半径が小さいからだと結論した。
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