研究課題/領域番号 |
16560005
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
久米田 稔 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (30019773)
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研究分担者 |
森本 章治 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (60143880)
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キーワード | 水素化アモルファスシリコン / エルビウム添加 / マグネトロンスパッタリング / フォトルミネッセンス / シュタルク分離 / シリコンダングリングボンド / 電子スピン共鳴 |
研究概要 |
SiダングリングボンドのEr発光に対する役割を調べるために、Siダングリングボンドのある場所と発光するErのある場所を空間的に分離することを考える。そのためにErを添加した透明材料の上に水素化アモルファスSiを堆積してその影響をみることを試みた。透明材料としてA1203を選び、Fr添加A1203薄膜を作製した。薄膜作製はA1203ターゲット上にErを置いて、Ar雰囲気中、基板温度200度で、マグネトロンスパッタ法を用いて行った。作製した膜を種々の温度でアニールしてフォトルミネッセンス測定を行ったが、1.5ミクロン帯における特徴的なErの発光は観測されていない。今後、製膜条件を精査し、Erの発光を確認した上で、さらにこの上に水素化アモルファスSiを堆積してSiダングリングボンドの影響を調べる予定である。 水素化アモルファスSi中に不純物として入り込んだ酸素がErに配位している可能性について調べてきたが、さらに酸素に囲まれたErについて、酸素の作るEr位置での結晶場によって、Erのエネルギー準位がどのように分離するかを調べた。酸素の作る8面体の中心にErを置いたときのEr位置での電位を位置の変数の6次まで展開してこれに等価演算子法を用いて基底状態に対して16x16の摂動行列を作りこれを対角化してシュタルク分離を計算した。さらに、正方対称の成分を入れると2個ずつに縮退した8個の固有値が得られる。さらにErの位置をわずかに動かした時のエネルギー準位の変化を調べた。このようにして、基底状態^4I_<15/2>および励起状態^4I_<13/2>の準位がどのようにシュタルク分離するかを計算し、Erのフォトルミネッセンスのスペクトルとの対比を行った。フィッティングパラメータの任意性を考えると確定的なことは言えないが、Erの配置について、酸素の作る8面体の中で中心からわずかにずれた位置を考えるとフォトルミネッセンススペクトルと矛盾しない。
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