研究課題
光照射面に対して垂直に形成されたpn接合を持つ、垂直接合型有機太陽電池の作製技術を確立した。擬似太陽光照射下、短絡光電流として8.5mAcm^<-2>というアモルファスシリコンに匹敵する非常に大きな値を観測した。この大きな光電流は、垂直透明層を通った光の捕集効果に起因するとして合理的に説明できた。上記研究の展開として、基板温度コントロールによって微細構造制御したフラーレン(C60)とフタロシアニン(H_2Pc)共蒸着膜を、透明n型有機半導体層とp型有機半導体層でサンドイッチした3層型セルを作製した。擬似太陽光照射下、短絡光電流10mAcm-2、開放端電圧0.42V、曲線因子0.52、変換効率2.5%の世界最高レベルの効率を持つ有機太陽電池の作製に成功した。この有機固体太陽電池は、アモルファスシリコンと本質的に同じ、p-i-nエネルギー構造を持つ。また、透明n型層として用いたナフタレン誘導体(NTCDA)は、セル特性を落とすことなく、数ミクロンの厚さで積層でき、セルのショートを効果的に防止でき、これまで不可能であった、10cm^2を越える大面積の有機固体太陽電池の作製ができることが分かった。さらに、長期安定性試験を行い、有機固体太陽電池の安定動作には、空気中の水分、酸素の侵入を防ぐために、セルの封止が必要なことが明らかになった。
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